エピソード Ⅶ
『インストラクターの責任とプライド』
『ダイビング人生を左右する、体験ダイビングの担当』

写真:イソコンペイトウガニ 擬態を得意とし、トゲトゲトサカを宿主とする。ここ沖永良部ではたくさ
んのポイントに点在するトゲトゲトサカ、1本1本枝を念入りに捜す必要があるが、ほとんど一生を同
じ宿主で生活すると考えされているので一度見つけるとかなり長い時期、会うことの出来る人気の
甲殻類である。
 

『インストラクターの責任とプライド・ダイビング人生を左右する体験ダイビングを担当する』
インストラクターが担当するダイビングメニューの中でもっとも責任のあるメニューの一つが【体験ダイビング】だと思う。
講習、体験ダイビング、FUNダイビング、ステップアップコースと様々なメニューの中でも、限りなく短期決戦要素の高い 【体験ダイビング】 参加されるゲストのテンションも様々・・・
 旅行に来たから・・・、時間があったから・・・、友達に誘われたから・・・等々、参加には様々な理由があるが、他のメニューとはテンションが違うこともしばしば、インストラクター泣かせのテンションで参加されるゲストも少なくない。『・・・だから出来なくてもしょうがないでしょう・・・』ではインストラクターのプライドも責任も感じられない。。。
【海で起こる事は全てインストラクターの責任】 修行したサイパンでの師匠の言葉、当時駆け出しインストラクターの自分には、難しすぎる言葉だった。ただ頷くだけ、言葉の奥にある様々な意味を感じられるまでにはかなりの時間を要した。。。いやまだ本当の意味を理解していないのかもしれない。。。
どんなテンションであろうが、スポーツに対するポテンシャルだろうが、参加されるゲストにとっては、大切な旅行の中での時間、そして大切なお金を使って参加する【体験ダイビング】、“”楽しくて当たり前“”そして迎え入れるプロとしては、その期待に応える事(もちろん安全の範囲内というのは当たり前)こそが当たり前且つ最大の仕事・・・

 

 その日のコンディションを判断する、波が、風が、このポイントはこれが見えるから、このコンディションまでは大丈夫、ここはこの風には強いが、これが見れないから満足度は・・・ポイントは当然のことながら一長一短あり、ゲストの望むものとコンディションを総合的に判断して、ポイントを、コース取りを、時間を決める。

 そして最大限の神経を研ぎ澄ましコースを開催する。全てのプログラムに同様の事を考え、実行し望むのだが、大きく違うのは、【体験ダイビング】のゲストの方は、このダイビングが人生初ダイビングであり、ダイビング人生のスタートであるということ、今後何十年と海を楽しむ事が出来るような良い感動を与える事が出来るのか?担当するインストラクターの責任が非常に問われるコースである。時には人生最初で最後のダイビングになるゲストもいるかもしれない。
 【体験ダイビング】をただ無難にこなしゲストに帰ってもらう事しか出来ないのであればプライドの欠片もない仕事である。
【体験ダイビング】は、ダイビング人生のスタートを切るダイビング、いつか【体験ダイビング】を経験したゲストが、講習を行う為に戻って来たり、はたまたライセンスを取ってFUNダイビングに来られたりした時に、自分の開催した【体験ダイビング】が本当に良かった感じられる瞬間である。
 『頑張った』 は第3者が評価するもの、自分がいくら頑張っても相手に伝わらなければ、評価されなければ意味がない・・・インストラクターの責任とプライドを掛け開催した【体験ダイビング】は、終了後のゲストの笑顔と、いつか海で再会できる時に評価をされる。
今日の【体験ダイビング】はどうだったんだろう・・・楽しんでもらえたかな?いつかライセンス取っていろんな海を楽しんでくれるかな?その為に最善の仕事が出来たかな?自己分析して次のコースに望む。


 『本日【体験ダイビング】を担当します、インストラクターのひがしです。よろしくお願いします。ではこれから・・・』

インストラクターとしての責任とプライドを掛けた【体験ダイビング】が始まる・・・

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