★★★ ファイルNO,13 我が子を守れ産卵床を変える苦悩?の産卵 ★★★
毎年、年に5回、6回と産卵をする沖永良部島のクマノミ達(クマノミ、ハナビラクマノミ、ハマクマノミ、セジロクマノミ、カクレクマノミ)毎回約数百個の卵を産み、ハッチアウトするクマノミ、全てが成長したのなら沖永良部島の海はクマノミだらけ! ところが、小さい生物の儚さ…その殆どが他の生物の餌になってしまいます。親のクマノミとしては、一つでも多くの卵を無事成長させ、1匹でも多くの子供達を大海原に旅立たせたいという想いで過ごしているのではないかと思う。
クマノミの産卵床は、通常イソギンチャクの裏側で、まずオスとメスが懸命に藻などを食べ綺麗にして産むスペース(産卵床)を作り上げていく。
島に帰ってお店をオープンした2003年から2017年の今年まで、毎年毎年、同じ場所に産卵床を作成し産卵する。現地サービスとしてシーズン中、何度も確認できる事により、信憑性の高いデータである事は言うまでもない。
ところが、観察から15年目にして初めて、ある2か所のクマノミだけ産卵床を移す(?)という事態が起きた。それまでの産卵床からハッチアウトしたクマノミの幼魚達は殆ど他の魚達の餌になってしまったのだろうか・・・そしてその事実を親クマノミは知っていたのだろか? “このままでは産まれてくる我が子を守れない” と思ったのか、あくまでも憶測にすぎないが、この危機を感じた親クマノミは産卵床を変えるという行動に出た。今まで僕が知るだけで15年、もちろん親の世代も変わっているだろうが、毎回寸分違わず同じ場所に産卵床をを作り上げてきたものを変更するのは、親クマノミにとって、苦渋の判断だったかもしれない。
新しい場所に作るリスク、労力を惜しまず産まれてくる我が子の為に努力をする親クマノミ。『うまく一つでも多くの卵が無事ハッチアウトして旅立つといいね!』そんな言葉をかけたダイビングだった。
それから時が過ぎ、次の産卵の時期になると、な?なんと? また前回と同様の場所に産卵床をを作り産卵を行った。『なぜ?』と思う僕の表情を笑うように、親クマノミが元気に自慢げに泳ぐ。
まだまだ不思議がいっぱいのクマノミの産卵に纏わるドラマから目が離せない沖永良部島の海。